相続時精算課税を利用して不動産を生前贈与したい?ちょっと待って。

  更新:2014/09/28

photo credit: reynermedia via photopin cc

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「不動産の生前贈与をしたいんです。」

司法書士をしていると、そういった相談を受けることがあります。

司法書士として不動産の名義変更をするだけなら、そんなに難しいことではないのですが、どうして生前贈与したいのか理由を聞いてみると、生前贈与するメリットがあまりないことが多いようです。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、ざっくり言うと、生前贈与と相続を一本化し最後の相続の時に税金を精算する制度です。

65才以上の親から20才以上の子に贈与したとき、2500万円までの生前贈与については贈与税は課税されないという制度です。

相続時精算課税制度を選択したときは、贈与の年の翌年2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税選択届出書」を提出します。以後は、贈与を受けても相続時精算課税制度のみが適用になり、暦年課税(毎年110万円までの贈与について非課税)には戻れません。

この届けを税務署にしなかったときは、通常の暦年課税の適用となり、あとで莫大な金額の贈与税を支払うことになることもありますので注意が必要です。

そして、贈与者が亡くなったときに、贈与財産を相続財産に加算して、相続税の計算をします。

不動産を生前贈与した時にかかる費用と相続時の費用の比較

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手続きにかかる費用で比較してみましょう。

手続費用は

2500万円の評価の不動産を相続時精算課税制度を利用して生前贈与したときます。

このとき、名義変更登記するのにかかる登録免許税は50万円です。さらに不動産取得税も評価額の3%、75万円かかります。

同じ不動産を相続したときの手続費用は、登録免許税は10万円です。相続の場合不動産取得税はかかりません。

不動産を生前贈与して相続時精算課税制度を選択すると、確かに贈与税は非課税ですが、その他の経費がかなりかかってしまいますね。

手続き費用は相続の方がずっと費用は安く済みます。

相続税は

では、相続税はどうなるでしょうか?

相続時精算課税制度を利用した時は、相続時に相続財産に贈与財産を加算して相続税を計算します。

加算される財産の評価は、贈与した時の評価です。

相続時に不動産の評価が上がっていれば、贈与時の低い評価で計算できるので、メリットがありそうです。しかし、今の時代不動産の評価が大きく上がるということはそう考えられませんね。

自宅を贈与した時は、建物の評価は徐々に下がっていきますから、相続時の評価の方が低くなっていることも考えられます。そうすると相続税的にはメリットはなさそうです。

まとめ

不動産を生前贈与して相続時精算課税制度を選択すると、相続の場合と比較して、手続きにかなり余計な金額がかかってしまうといことがお分かりいただけたかと思います。

一度手続きをとってしまうと、後で「しまった!」と思っても、もう元には戻せません。

しかし、相続時精算課税制度による不動産の生前贈与が絶対にダメというものではありません。

手続費用の差を認識した上で、それでもなお不動産を生前贈与するだけのメリット・動機・理由があるときは、この制度を有効に活用してください。

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