楽天銀行が独自住宅ローンの取扱いを開始したのでちょっと見てみた

  更新:2014/09/15

楽天銀行が住宅ローンの取扱いを開始したというニュースがありました。

「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」取り扱い開始のお知らせ

楽天銀行はこれまで、住宅金融支援機構の「フラット35」を取り扱ってきましたが、これに加えて楽天銀行が独自で住宅ローンサービスを提供するとのことです。
新しく提供するローンサービスは、「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」で、申込みから契約までネットと郵送のみで手続きが完了する簡便さが特徴です。

楽天銀行住宅ローンの特徴は?

住宅ローンで一番気になる金利を他の銀行と比較してみましょう。

楽天銀行 ソニー銀行 三菱東京UFJ銀行
変動金利 0.718 0.599 0.775
2年固定 1.110 0.941 1.300
3年固定 1.148 0.978 1.400
5年固定 1.248 1.101 1.600
10年固定 1.711 1.524 1.900

これは最優遇金利の適用を受けた場合の11月の金利です。

大手銀行より金利は低いが他にもっと低い金利のところがあるといった微妙なポジションですね。

それよりもこの住宅ローンの最大の特徴は、いわゆる5年ルール、125%ルールがないことではないでしょうか。

5年ルール、125%ルールがない

楽天銀行住宅ローンの商品詳細説明書を見ましたが、いわゆる「5年ルール」「125%ルール」の記載がありません。

「5年ルール」というのは、返済額を5年間一定とするルールで、5年ごとに返済額の見直しを行うというものです。

例えば三菱東京UFJ銀行の商品詳細説明書には

返済額は5年ごとに見直し、次の5年間の返済額を定めます(利率に変動があった場合も、見直しするまでは返済額は変更しません)。

と書かれています(三菱東京UFJ銀行は一例で他の銀行も同様です)。楽天銀行にはこれがないので、金利を見直す都度(半年ごとに)、返済額が変動することになります。5年ルールがない点は新生銀行やソニー銀行と同様です。

また、「125%ルール」は、5年ルールにより、5年後に返済額を見直す際に、前回返済額の125%を返済額の上限とするルールです。

これも例えば三菱東京UFJ銀行の商品詳細説明書には

利率が上昇し返済額が増額となった場合でも、それまでの返済額の125%を超えることはありません。

と書かれています(三菱東京UFJ銀行は一例で他の銀行も同様です)。

楽天銀行の商品詳細説明書にはこれがないので、返済額が増額となるときにも返済額の上限は設定しないということになります(これも新生銀行やソニー銀行と同じです。)。

5年ルール、125%ルール有無による違い

これはどういうことか、分かりやすく最初の返済額が10万円だったとして説明しましょう。

三菱東京UFJ銀行や他の銀行のように5年ルール、125%ルールがある銀行の場合、5年間は金利が変動しても返済額は変わりません。
5年後に金利が上昇していても、返済額の上限は12万5000円になります。
5年後に一気に金利が上昇することはないでしょうから、本当はこの5年間に金利上昇に見合った金額の支払をしておく必要がありますが、5年ルールがあるのでそうはなりません。一定額の支払いしかしません。
また、5年後には、13万円の返済にしないといけない程金利が上昇しているかもしれませんが、125%ルールがあるので、返済額は12万5000円にしかなりません。

このように5年ルール、125%ルールがある銀行では、5年間は金利が上昇しても一定額の支払い、5年後も金利変動にかかわらず返済額の上限が決まっています。

その一方で、楽天銀行(ソニー銀行や新生銀行も同じ)の場合は、半年ごとに金利上昇に見合った返済額になります。また、125%ルールがないので、5年のうちに返済額が12万5000円を超えてしまうことがあるかもしれません。

つまり、半年ごとに金利上昇に見合った返済額が設定されます。

こう見てくると、変動金利にするなら、返済額が5年変わらず、増額になっても上限がある銀行の方がいいように見えるかもしれません。その方が返済の予定を立てやすいですから。しかし、そうとは限りません。

それは、楽天銀行(ソニー銀行や新生銀行も)の住宅ローンでは最後にしわ寄せが来ることがないのに対して、一般の銀行では最後にしわ寄せがくることがあるからです。

変動金利最大の盲点「最後にしわ寄せ」

「最後にしわ寄せ」とはどういう意味でしょう?

楽天銀行の住宅ローンでは、返済額が半年ごとに見直しされ、増額にも上限がないので、35年ローンであれば35年払えば完済となります。そんなの当然のことと思われるかもしれませんが、他の銀行はそうではありません。

他の銀行では、いわゆる「5年ルール」や「125%ルール」により、金利が上昇しても返済額が一定の範囲に抑えられています。そのため本当はもっと払わなければならないのに返済額が少ないため元本が順調に減らないという局面が訪れる可能性を孕んでいます。

どういうことでしょう?例えば先程の例を基に説明すると、楽天銀行のようなケースでは、当初の返済額が10万円であっても、金利が上昇すればその上昇とともに半年ごとに返済額を上げて35年で返済が終わるように調整できます。
しかし、一般の銀行では、当初の返済が10万円でその後金利が上昇しても返済額は5年間変わりません。それから5年が経過し、本来であれば13万円の返済をしないといけない程金利が上昇していても、返済額は125%ルールがあるために12万5000円にしかなりません。
そうすると、35年間の金利情勢によっては、35年支払っても、元本が残っている事態が発生する可能性があります。

そんなことがあるのかと思われるかもしれませんが、そういうときのために、一般的な銀行の商品詳細説明書には

金利情勢等により、当初の借入期間が満了しても未返済残高が生じる場合があります。この場合、原則として期日に一括返済していただきますが、一括返済が困難な場合には期日までにお申し出ください。

とあるのです。

これがどういうことを言っているかというと、「35年支払っても金利情勢によって元本が残っているときは一括して返済してくださいね」ということです。その残ってしまう金額も35年間の金利情勢によりますので、それが10万円なのか、100万円なのか、もっとなのか分かりません。
35年払ってきてやれやれと思ったところに、まだ残りがあるから払えと言われるわけですから、堪ったものではありませんね。

こういう事態が発生する可能性がないだけ、楽天銀行の住宅ローンは親切設計ということもできます。

まとめ

で、強引にまとめに入ります。

楽天の住宅ローンは借りなのか?

今の低金利がいつまで続くのか誰にも分かりません。金利の変動に鈍感な方が5年ルールのある銀行の変動金利商品を借りると、次に返済額が見直されたときには金利がかなり上昇しているという可能性もあるでしょう。しかし、この楽天銀行(ソニー銀行や新生銀行も)の商品であれば半年ごとに返済額の見直しもされるため、金利変動に普段関心がなくても半年ごとの見直しで金利上昇を察知できれば、そのときに固定金利のものに借り換えをして金利上昇リスクを無くすということができるかもしれません。もっとも、金利が上昇して借り換えをするときには固定金利も今より上昇しているでしょうから、最初から固定金利のもので借りていた場合と比べてトータルで得するかどうかは分かりません。

結局は、住宅ローンを検討するときには、目先の金利だけではなくて将来のことも考えてからよく検討する必要があるということになります。

個人的には、低金利の今こそ全期間固定で借りて、将来の金利変動リスクを無くすのが一番いいと思います。

当社では住宅ローン選びの相談を行っています。また、全期間固定のフラット35の取次もおこなっています。
興味をもたれたら、お気軽にご相談ください。
アイキャッチ画像のphoto credit: StockMonkeys.com via photopin cc

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